生まれながらの詩人? - ベートーヴェン 交響曲第九番
【クラシカエール Blog Vol.20 音楽のここが面白い!】

以前のブログでもお伝えした通り、
第九は、年末にもよく演奏されますね。
(クラシカエールブログVol.1 3月に、ベートーヴェン「第九」?
https://www.classicaile.com/blog/3yue-ni-betovuen-di-jiu )
最後の合唱は、きっと誰しもが耳にしたことがあるでしょう。
曲の解説をするにはもっと詳しい人がいるでしょうから、
今回は文学や哲学の面から見てみたいと思います。
ベートーヴェンの遺した手紙 "ハイリゲンシュタットの遺書" には、
こんな文章があります。
「カールよ、おまえの子供たちには徳を授けてくれ。
金ではなく徳が幸せを与えてくれる。… 徳こそが、苦境のなかで私を高めたものなのだ」 (カールとは、ベートーヴェンが特に可愛がっていた甥の名。)
ベートーヴェンがいかに信念を持って生きてきたかが垣間見える一文です。 さて、徳 とは一体なんでしょう?
ベートーヴェンに関して、こんな文章が残されています。
「彼(ベートーヴェン)は古代人の偉大な賛美者である。
ホメーロス* の『オデュッセイア』、そしてプルタルコス** を何よりも好む。
彼は生まれながらの詩人で、他の誰よりもゲーテとシラーを研究した」
-J.R.シュルツ 1824年
* ホメーロス… 古代ギリシアの吟遊詩人。
盲目だったかもしれない (日本の琵琶法師のような存在?) ** プルタルコス… 古代ギリシアの歴史家、代表作は 英雄伝。
この曲の最後の合唱ではシラーの頌歌「歓喜に寄す」が使われています。 ベートーヴェンは若い頃からこの詩に興味を持っており、
最初に着想を得てから完成まで、なんと30年以上の月日が流れています。 それだけ大切に温めていたアイデアだったのですね。
最終楽章では、まず不気味な音が鳴り響きます。
色々なエッセンスが鳴り消えて行く、その合間に合唱が少しずつ入ってゆきます。
まるで人々が様々な闘争、困難に出逢い、打ち克っていくかのようです。
ベートーヴェンの一生のようですね。
合唱は次第に盛り上がり、オーケストラと合唱が歓喜のうちに幕を閉じます。
ベートーヴェンにとって徳とは、文学や音楽を通して、自分がどう生きるべきか、
学び想像することだったのではないでしょうか。
最後に、シラーの"歓喜に寄す" を冒頭部分だけご紹介します。
" Freude, schöner Götterfunken, Tochter aus Elysium,
歓喜よ、美しい神々の火花よ、楽園の娘よ、
Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum!
私達は炎のような熱情に酔いしれて、天にあるそなたの聖所に入って行く。
Deine Zauber binden wieder, was die Mode streng geteilt;
そなたの不可思議な力は、世の流れが厳しく切り離したものを再び結び、
alle Menschen werden Brüder, wo dein sanfter Flügel weilt. 全ての人々は兄弟となるのだ!その柔らかな翼の憩うそこでは。… "
続きは割愛しますが、素晴らしい詩なのでぜひ一度手にとって見てみてくださいね。 さらに実感を持って第九を感じられるはずです。
ここまでお読みくださった全ての方々、本当にありがとうございました。
演奏者も、スタッフも、素晴らしい演奏会になることを願い準備しています。 どうか、応援に足を運んでいただけたら幸いです。
ベートーヴェンの心の叫び、熱を帯びた活気を、感じて頂けたら嬉しいです。
それでは、皆様と共に心暖まる一時を過ごせることを楽しみにしています。
エール管弦楽団 平山由季
2018年3月3日新感覚コンサート リラクシーモ開催決定!
チケット情報 https://relacssimo.peatix.com
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